写真提供:中添雅仁さん【カメラ Canon EOS Kiss X4】 【レンズ:TAMRON400㎜望遠レンズ】2023/09/10 場所:タウシュベツ川橋梁展望台手前の道路わき50mから
北海道士幌線の歴史
皆様、こんにちは。本日は美しい北海道の自然と歴史に満ちた場所、タウシュベツ川橋梁をご案内いたします。この橋は、かつて士幌線という鉄道が運行されていた時のもので、糠平ダムによって作られた糠平湖の水位により、年によっては水面に現れたり沈んだりする幻の橋としても知られています。
まず、士幌線について少し背景をご紹介しましょう。この線路は、帯広から北へ進み、十勝三股までの約78キロメートルを結んでいました。大正14年に帯広から士幌までの区間が開通し、その後、昭和14年には十勝三股まで開通しました。士幌線は、その後も拡張が計画されましたが、標高1139mの三国峠の困難な地形により、計画は十勝三股で終了しました。
※北海道の峠では今のところ一番高く十勝と上川を結びます。山頂に休憩所(おトイレ)があり針葉樹の樹海を見下ろすことできる展望台でもあります。
冬の幻景:タウシュベツ川橋梁と糠平湖の氷結する美学
タウシュベツ川橋梁は、その士幌線にあった多くの橋梁のうちの一つで、特に美しいコンクリートアーチ橋です。地元の砂利や砂を利用して建設されたこの橋は、大雪山国立公園の自然を損なわないように設計されました。そのため、周囲の自然と調和するような美しいアーチ形状をしており、今もなお多くの観光客を魅了しています。
しかし、糠平ダムの建設により、この地域の多くの橋が水没する運命にありました。タウシュベツ川橋梁も例外ではなく、糠平湖の水位によっては完全に水中に没することがあります。特に冬場は湖が凍結し、橋が氷に閉じ込められる様子は、まるで古代遺跡のような幻想的な景色を生み出します。
季節の移ろいと保存の挑戦:タウシュベツ川橋梁の不朽の魅力
春になると湖の水位が下がり始め、徐々に橋が姿を現します。5月中旬には橋が完全に現れ、周囲の雪も解け、大地にそそり立つ姿が見られることでしょう。しかし、夏になると再び水位が上がり、橋は水中に沈んでしまいます。
このサイクルは、橋のコンクリート劣化を加速させており、いつ崩壊するか予測が困難ですが、その美しさと歴史的価値から多くの保存運動が行われています。士幌線は昭和62年に廃止されましたが、タウシュベツ川橋梁を含む士幌線の遺構は、今もなお多くの人々に愛され、訪れる価値のある場所となっています。
糠平湖とその造形美、糠平ダム:北海道の自然と人類の共創
北海道の壮大な自然と人間の技術が生み出した奇跡、糠平湖と糠平ダムをご案内いたします。この美しい人造湖は、音更川を標高520メートルでせき止め、周囲33キロメートルにわたって広がる広大な水域です。かつてアイヌの人々はこの場所を「カムイ・ニセイ」、すなわち魔人の峡谷と呼び、その神秘的な美しさを讃えました。
糠平ダム自体は、昭和28年から始まった4年間の大工事により完成しました。この重力式コンクリートダムは、長野県の佐久間ダムとともに、20世紀の日本を代表する建設プロジェクトの一つです。ダムによって形成された糠平湖の深い青が、周囲の豊かな森林と調和し、遠く東大雪山系のウペペサンケやニペソツといった山々を背景にした絶景を作り出しています。
さらに、この地域は糠平電源開発によって北海道のエネルギー供給に重要な役割を果たしており、総出力17万2000キロワットの電力を生み出し、札幌や東北海道方面へ送電しています。こうした背景知識を持つことで、皆様がこの地を訪れた際に感じる感動が一層深まることでしょう。
これからもこの美しい糠平湖と糠平ダムの魅力を多くの人々に伝え、次世代にも継承していけるよう努めてまいります。この壮大な景観を是非一度、ご自身の目でお確かめください。
糠平湖と糠平温泉の絶景を巡る、東大雪山脈の自然と歴史の旅
大雪山国立公園の魅力溢れる風景、糠平湖と糠平温泉、そして幌鹿峠を巡る旅をお楽しみいただけます。ここは通称「東大雪」と呼ばれ、層雲峡の壮大な柱状節理とともに、北海道の自然の豊かさを象徴する地域です。
まず目にするのは、音更川をせき止めて作られた人造湖、糠平湖です。周囲33キロメートル、深さ70メートルに及ぶこの湖は、昔アイヌの人々によって「カムイ・ニセイ」(魔人の峡谷)と呼ばれ、その神秘的な美しさが今もなお残っています。湖の向こうには、東大雪山の連峰が広がり、その中でもウペペサンケ山とニペソツ山が特に印象的です。
次に、糠平ダムへと進みます。このダムは、昭和28年から4年間の歳月をかけて完成した重力式コンクリートダムで、堤高76メートル、堤長293メートルの規模を誇ります。このダムによって形成された糠平湖は、十勝川の水を利用した大規模な水力発電の源となっており、その電力は札幌や東北海道方面に供給されています。
このエリアの歴史にも触れ、糠平ダムの建設中に亡くなった方々を慰めるために建てられた慰霊碑にも言及します。碑文には「大雪の湖にかがやく汝がいさおかたりつぐかね後の人らは」と刻まれており、糠平ダム工事での勇敢な努力と犠牲を後世に伝えるメッセージが込められています。
皆様がこのツアーを通じて、北海道の大自然とそこに息づく歴史の両方を深く感じ取っていただけることを願っております。美しい景色の中、心地よい時間をお過ごしください。
糠平温泉と大雪山博物館:東大雪の自然と癒し
糠平湖の美しい景色を右手に眺めながら、東大雪山脈の深い懐にある糠平温泉に向かいます。糠平温泉は古くからの湯治場として知られていますが、昭和31年に糠平湖が誕生したことにより、新たに湖畔に位置する温泉地として生まれ変わりました。
糠平温泉では、アルカリ性の単純泉や食塩泉が湧出しており、これらの温泉は特に胃腸病や神経痛の緩和に効果があるとされています。温泉のほかにも、この地には東大雪博物館があります。こちらの館では、大雪山国立公園内に自生する数多くの高山植物や、学術的にも価値の高い北方系の鳥類、獣類、昆虫などを一目で学べる展示が整っています。
特に、天然記念物に指定されているウスバキチョウやダイセツタカネヒカネ、アサヒヒョウモンといった珍しい蝶々が展示されているほか、世界各地から集められた珍しい蝶類や昆虫類も見ることができます。
この自然豊かな糠平温泉で心身ともにリフレッシュし、大雪山の自然に触れる体験をお楽しみください。皆様の癒しと学びの場となることを願っています。さあ、この素晴らしい地での時間を心ゆくまでご堪能ください。
幌鹿峠と三国峠:壮大な高地ルートを巡る旅
糠平温泉からの旅を続け、次に向かうのは、壮大な自然景観が広がる幌鹿峠と三国峠です。こちらは北海道で最も標高の高い地点を結ぶ観光道路としても知られ、冒険と発見の旅へとお誘いします。
真っ直ぐに参りますと幌鹿峠でございます。名前の由来となった鹿追町と上士幌町の境界に位置し、その標高は1080メートルに達します。両町の名前から一字ずつ取り「幌鹿峠」と名付けられました。この地点からの眺めは、周囲の豊かな自然と広がる山々の景色が楽しめますが、頂上に設置された看板があるにも関わらず、周囲の山がより高いために広範囲を一望することはできません。それでもこの峠は十勝地方の素晴らしい自然を感じるには十分な場所であり、訪れる価値のあるスポットです。
次に、右手に進むと日本で一番高い標高1139mの三国峠へと続きます。この峠では、シベリアにも見られる珍しい永久凍土が発見され、その科学的な価値も大変高いことから注目を集めています。三国峠は昭和46年に開通しましたが、長らく冬季間は通行止めとなる未舗装区間がありました。しかし、平成6年に全区間が舗装され、年間を通して安全に通行できるようになりました。
トンネルの手前左側に三の沢橋梁まで1Km、そして駐車場がありますの看板です。
このルートには、タウシュベツ川橋梁展望台への道もありますが、季節によっては標識が見えにくくなることがあるため、注意が必要です。特に緑が豊かな季節は、看板が隠れがちになるため、ご案内が難しい場合もあります。そんな時は、代わりに三の沢橋梁の駐車場に停め、周囲の安全に気をつけながら旧士幌線の美しいアーチ橋をご覧いただくことになります。
バスはこちらの駐車場に止めて、お客様を下車案内させて頂きます。歩いて来た歩道のない車道を戻ります。
そうすると、並行しているアーチ橋の一部分ですが写真に収めることができます。また、時間の許す方は駐車場から少し歩いて向こう側の高い場所に行くことが可能です。
何か所かに橋がありまして右側に並行して旧士幌線と糠平湖が見えます。
次に五の沢橋梁と駐車場の看板が見えてきます。その前に500mの看板もあります。
いよいよタウシュベツ川橋梁まで500mの看板です。あと一息です。
展望台の駐車場に到着です。と言いましてもおトイレはないですし整備された駐車場ではありません。
バスは糠平側からですと「自動車の逆向き駐車」。 略して「逆駐」 進行方向に対して、反対車線に進行方向と同じ向きのまま車を止める行為のことになってしまいますので、バスは左側に停めますが、お客様が誤って路肩から転落しないよう注意深く位置を調整し、結果として車道の一部を占用してしまいます。そのため、バスを降りて道路を横断する際は、前後から来る車両に十分注意を払いながら安全に右側へ渡る必要があります。
皆様お疲れ様でございます。じゅうぶんにタウシュベツ川橋梁をご堪能下さいませ。