北海道サケ物語:ふ化場の役割と絶品郷土料理の歴史

北海道サケ物語:ふ化場の役割と絶品郷土料理の歴史

皆様、こんにちは。北海道は昼と夜は寒暖差がございます。朝晩は寒く、昼間は半そでと言うくらいです。

しかし北海道の屋根、大雪山系のひとつ、黒岳では2024年9月20日の夜に雪が降り、翌21日の朝には初冠雪が確認されたのです。

uhb(フジテレビ系)北海道ニュースUHBより 写真提供のりんゆう観光は黒岳ロープウェイ

昨年より13日も早い初雪となり、冬が近いことをヒシヒシと感じています。

そんな中、「食欲の秋」という言葉がぴったりな季節となり、あちらこちらから収穫の便が届きました。

お友達のお米の今田屋さんからは、【ななつぼし】の収穫が始まりますよ~とお知らせを頂きました。

秋の恵みとともに、今日は鮭のお話です。

鮭は北海道民の食卓に欠かせない存在であり、その歴史や役割は深く北海道に根付いています。

今回は、鮭の不思議と、ふ化場の歴史、鮭を使った郷土料理、そして鮭の一生にスポットを当て、詳しくご紹介していきます。

※鮭と書いて「シャケ」と読んだりします。この記事では鮭(サケ)とさせて頂きます。

当ブログの【日ハム戦の観戦体験:新庄監督のリクエストから感動の応援まで】の中の応援カメラと観客席 ではシャケ、シャケ言っているわたくしです。

※鮭を数える時は1匹、1本、1尾とあります。あまり気になさらず数えて見てください。

サケ・マスふ化場の歴史

資源保護と増殖を目的に明治21年に創設された、わが国最古の官営のふ化場が千歳にあります。

明治20年代と言えば、石狩川で年間100万匹の鮭が取れ北海道内の沿岸や河川はサケ・マスであふれておりました。そのような時代に保護と増殖を考えた方がいたのです。

札幌農学校(現・北海道大学)の1期生で当時の北海道庁に勤務する伊藤一隆(いとう かずたか)さんと言う方です。

彼は「豊かな水産資源も枯渇しやすく、減少しない内に対策を立てる必要がある」と力説しました。

いわば伊藤さんの先見の明により、千歳に本格的な官営のふ化場が誕生したのです。

伊藤さんは明治19年に渡米し、メイン州バックスポートで鮭のふ化技術を学びました。

↑伊藤さんがコロンビア州でみた「補魚車」に、独自の改良を加えたものが千歳のインディアン水車です。

千歳川で初めて捕魚車が使用されたのは1896年(明治29年)で、その後、改良が重ねられて現在の形になりました。

千歳のふ化事業は、責任者に藤村信吉さんを迎えたことで、なお一層の発展をしてきました。

藤村さんによって確立されたふ化技術が、全道的な規模で事業として軌道に乗たのでございます。

現在、インディアン水車は毎年7月中旬に設置され、8月中旬から12月上旬まで稼働します。この水車は、サケ・マスの増殖事業に用いる親魚を捕獲するために設置されており、年間およそ20万尾のサケを捕獲します。

千歳川の水量が安定しているため、水力だけで回転するこの水車は効率的にサケを捕獲することができます。

インディアン水車(捕魚車)は、川を遡上(そじょう)するサケを効率的に捕獲するための装置です。以下のような仕組みで動作します。

●川の流れを利用して水車が回転します。水車の羽根はカゴ状になっており、サケが遡上してくるとこのカゴに入ります。

●カゴに入ったサケは、水車の回転によって上部に運ばれます。

●上部に運ばれたサケは「魚落とし」と呼ばれる部分に落ち、そこから滑り台のようにして生簀(いけす)に落ちます。

●この一連の動きにより、サケを連続的に捕獲することができます。

インディアン水車は、特に水量が安定している川で効果的に使用されます。

例えば、千歳川では支笏湖(しこつこ)や発電用ダムが上流にあるため、水量が安定しており、この漁法が適しています。

インディアン水車の見学は、サケの遡上(そじょう)シーズンに多くの人々が訪れ、サケが水車にかかる様子や捕獲作業の迫力を楽しむことができます。

個人
大人:800円/高校生:500円 ※1/小・中学生:300円/乳幼児:無料
団体(10名以上)
大人:600円/高校生:400円 ※1/小・中学生:200円
営業時間:9:00~17:00

サーモン祭り2024/09/14~10/27

その後、多くの関係者の努力により現在のふ化場があるのですが、経済水域200海里(カイリ)時代をむかえ、明治時代に残してくれた伊藤一隆さんの偉大さに改めて頭の下がる思いが致します。

ふ化場で稚魚は川に放流され海に出ますが、3~5年目の秋に産卵の再び生まれ故郷の川に戻って来ます。

これを鮭の母性回帰と言います。

サケの母性回帰とは?生まれ故郷に戻る不思議な理由

沢山ある川の中で、何故生まれ故郷がわかるかのかについては誰しも不思議に思うことですが、においを覚えていて、その記憶を頼りに帰ってくるらしいのです。

川へ放流した稚魚のうち、約4年後、親鮭となって生まれた川に帰って来るのはわずか1%程度に過ぎず、あとは稚魚の時にカモメに食べられたり、大きな魚のエサになったり、沿岸で人間に捕獲されてしまうのです。

産卵のために川に上る時期は北の方が早く、北海道は9月から11月頃が最も多く、年明けて1月頃というのもまれにございます。

川に入ってしまう鮭は一切エサをとらず、懸命に産卵のため、生まれた場所へのぼって行きます。産卵する場所は小砂利の多い、湧き水のあるところが好まれ、メスが適当な場所を見つけ、尾ビレで穴を掘り産室を作ります。

準備が整ったことをオスに知らせ、オスのOKの信号を見届けてから産卵、受精が行われます。

そのあとメスが産室に砂や小砂利をかけ終了するのですが、1匹のメスで5~6回同じことを繰り返します。

産卵の終わった鮭はその後1週間ほど砂や小砂利をかけ続けておりますが、その内ヒレはさけ、皮膚は、はげて骨が見え1生を終わるのです。

親鮭の命と引き換えに誕生した砂利の中の卵は、水温8度くらいの状態で60日かかりふ化しますが、そのままじっとしており、4~5月頃エサの豊富な時に泳ぎ出て群れをつくり、川を下るのです。

この頃の大きさは4センチ程度、海へ出るとエサが沢山ありますので8月頃には8~9センチ程に成長し沖へ沖へと姿を消し、その後は決して沿岸には寄り付きません。

そして3年から5年目の秋に生まれた川へ産卵のため帰って来るのです。

方向音痴のわたくしは本当に不思議に思えて尊敬すら感じるのでした。

北海道で捕れる主なサケの種類とその特徴

鮭は学名ではオンコリンクス・ケタと言い、沢山の種類がございます。

北海道で最も多く捕れるのが、白サケ(秋サケ、メジカ、トキシラズ、秋味などと言われているもの)、サクラマス、カラフトマスで、ごくまれに、マスのスケ、紅鮭、銀鮭がが捕れております。

北海道の市場で売られている紅鮭は8割が輸入もので、あとの2割が北洋ものでございます。

北海道の沿岸、川でまれに捕られる紅鮭は、人工ふ化で川に放流したものが帰ってきたものです。

メスの親鮭1匹に平均約3,000粒の卵が入っており、これを5~6回に分けて産卵しますが、その内、親鮭となって生まれた川に戻って来るのかわずか2匹程度なのだそうです。

人工ふ化の場合は、少し大きくなってから(5センチ)川に放流しますので回帰率が高いのでございます。

それでも、わずか1%です。

STV(日テレ系)どさんこワイドニュースより

サケは春に川でふ化し、稚魚として海に下ります。その後、以下のような旅をします。

STV(日テレ系)どさんこワイドニュースより

夏から秋:オホーツク海で過ごします。
翌年の6月頃:ベーリング海へ移動します。
秋:アラスカ湾へ移動し、冬を越します。
春:再びベーリング海へ戻ります。

このサイクルを3年から5年ほど繰り返し成長します。

最終的に、産卵のために生まれた川へ戻ってきます。

出発から戻ってくるまでの期間は、通常3年から5年です。

鮭の顔つきでわかる!産卵期のオスとメスの違いとは?

ところでメス・オスの見分け方はご存じでしょうか?お腹をさいて見るのが1番早いように思うのですが、専門家の方は油ビレで分かるそうですが、わたくしは全然分かりません。

油ビレとは尾ビレの前、背ビレの後ろについているヒレで、油ビレの大きいのがオス、小さいのがメスなのだそうです。

産卵の為に川に入る頃には顔つきで分かります。メスはほとんど変わりませんが、オスは鼻が長くなり、歯が出てきて、ちょっと頭でっかちになります。

この頃の鮭を「背っぱり」「鼻まがり」と言っております。どの時期の鮭が美味しいのかと言うと、海で捕れた、しかもオスが1番なのだそうです。

川に入るとエサを一切とらず、ため込んだ脂肪分をエネルギーとして消耗してしまいますし、メスは卵に栄養分を取られてしまうからです。

お客様には「お土産になさる時に迷ってしまうかもしれませんが、しっかり見て、お好みの鮭をお選びくださいませ。」と申し上げておりましたが、なかなか難しいもので店員さんのオススメが1番のようです。

北海道で呼ばれる「秋味」と「新巻鮭」の由来とは?

秋に取れる美味しい魚、それで秋味、新巻きとは昔、塩をたくさんつけてわらに巻き、日持ちさせたことから最初は「わら巻き」と言っておりましたが、いつしか現在の新巻きとなったと聞いております。

昔は川の流れが止まる程、鮭が上って参りましたし、北海道の人口も少なかったので、いつも食卓に鮭が並んでおりました。

すっかり飽きられて「飽き味」、魚の好きな猫までがまたいで歩いた、それで「猫またぎ等」とも言われていた時代があったのです。

しかし現在、カムバックサーモンのキャッチフレーズで多くの川に稚魚を放流し、一時期に比べると沢山の鮭が帰って来るようになり、今では国産の鮭の水揚げの8割は北海道産で占められます。

鮭の食用の歴史:アイヌ文化と蝦夷地での鮭漁

鮭の食用の歴史は数百年前にさかのぼるとされておりまして、アイヌの人々が主要な食料としたほか、別海(べっかい)町の西別川河口では江戸時代後期1786年、幕府が蝦夷地の調査を行い、江戸にまで知られるようになり、1800年から将軍への「献上鮭」を作っていたことが記録とされております。

「献上鮭」の製造は、しめ縄を掛けた専用の小屋で行われ、麻の上下に身を包んだ作業者が慎重に塩漬けにした鮭を箱詰め、封印し、遠い都への船を見送ったそうです。

北海道では7~13世紀にはすでに、人々が河口付近に集落を構え、鮭を食用にしていた痕跡がみられました。

アイヌの人たちは鮭を「カムイチェプ」神の魚であり「シぺ」本当の食べ物と呼び重要な食料です。

乾燥や燻製、冷凍にして保存食を作り、長時間にわたって食用としたほか、皮からは履き物を作るなどして余すことなく利用しました。

鮭はさまざまな部位が食用となり、捨てるところのないと言われるほどでございます。

身や魚卵(イクラ・すじこ)は言うまでもなく、白子は煮つけや天ぷら、氷頭(ひず)と呼ばれる頭部の軟骨は酢の物にしたり、背ワタを塩辛にした「めふん」はお酒のお供として喜ばれる珍味でございます。

塩鮭を野菜と共に煮る三平汁は松浦武四郎が幕末に書き記した『西蝦夷日誌』にも残っており郷土料理としてなじみ深いです。

こうして古くから各漁師町で食べられておりましたが、石狩川の河口に官営の缶詰工場が改行し1877(明治10)年には日本で初めての鮭缶詰が作られました。

その後、民営となって製品を欧米に輸出し明治末期まで営業を続けたとのことです。

石狩鍋の誕生と北海道の伝統漁法「山漬け」

1950(昭和25)年くらいから毎年秋に地引網漁を見学するツアーが盛んにおこなわれ、生鮭をぶつ切りにして白味噌仕立てにしたモノを提供された鍋料理にいつしか「石狩鍋」の名前がつきました。

そのほか近年では鮭にたっぷりと塩をすり込み、文字通り山のように積み上げて熟成させる伝統技法の「山漬け」や鮭をキャベツやニンジンなどの野菜の上で白味噌をかけて蒸し焼きにした「ちゃんちゃん焼き」などがあります。

三平汁の歴史と冬を温める伝統の味

三平汁(さんぺいじる)は、北海道の伝統的な郷土料理の一つです。

主に塩漬けされた魚(鮭やにしん)と野菜、大根、じゃがいも、にんじんなどを煮込んで作るのですが、大根は先にゆでておかないとジャガイモが煮崩れします。

今でしたらジャガイモは、メークインを使うとさほど煮崩れしませんが、きたあかりは火の通りが凄く早いのでマッシュポテトに適していまして、男爵イモが中間と思って頂ければ大丈夫です。

寒い冬に体を温めるための料理として親しまれています。

●三平汁の歴史は古く、江戸時代後期の紀行文「東遊記」や「西蝦夷日記」にもその記録が残っています。200年以上前から食べられていたとされ、北海道の家庭料理として長く愛されてきました。

●三平汁の名前の由来にはいくつかの説があります。

斉藤三平説:松前藩の藩主が狩りに出た際、斉藤三平という漁師があり合わせの材料で作った汁を提供し、それが非常に気に入られたため「三平汁」と名付けられたという説。

三平皿説:有田焼の三平皿という深めの大皿に盛り付けたことが由来とされる説。

どの説が真実かは明確ではありませんが、わたくしは斎藤三平説派です。道南の江差町にあります昔の物語集を最初に覚えたせいもあるかもしれません。

いずれにせよ、三平汁は北海道の歴史と文化に深く根付いた料理です。
北海道の冬の味覚を楽しむために、ぜひ一度作ってみてはいかがでしょうか?

ちゃんちゃん焼きとは?白味噌と野菜で味わう鮭料理

ちゃんちゃん焼きは、北海道の郷土料理で、主に鮭と野菜を使った蒸し焼き料理です。具体的な説明をしますと、と言いましても簡単です。

ちゃんちゃん焼きの特徴
主な材料: 鮭(サケ)や他の魚(ホッケ、サクラマスなど)、キャベツ、玉ねぎ、ピーマン、もやし、にんじん、しめじなどの野菜。メインはキャベツと鮭と白味噌があれば、あとはもうお好みで楽しんで頂きたいです。

調味料: 白味噌、酒、みりん、砂糖、バターなど。

調理方法: 鉄板やホットプレートを使い、バターを敷いて野菜と魚を蒸し焼きにします。

白味噌ベースのタレをかけて、アルミホイルで覆って蒸し焼きにすることが一般的です。

名前の由来
ちゃんちゃん焼きの名前の由来にはいくつかの説がありますが、代表的なものは以下の通りです。

「お父ちゃん(ちゃん)」が作る料理だから。
魚や野菜を「ちゃっちゃっ」と手早く調理するから。
鉄板で焼くときの音が「ちゃんちゃん」と聞こえるから。

この料理は、北海道の漁師町で古くから食べられており、漁師たちが浜辺で大きな鉄板を使って豪快に焼いて食べるのが始まりとされています。

北海道の家庭でもよく作られる料理です。ぜひ一度試してみてくださいませ。

地引網から定置網へ:江戸時代から続く北海道の鮭漁の変遷

西別川河口が位置する別海(べっかい)町から標津(しべつ)、羅臼(らうす)など道東地方は、今も道内屈指の鮭の産地で、日本海側では石狩川河口を中心とする一帯が好漁場になっています。

近年の鮭漁は定置網ですが、江戸時代から昭和中頃までは地引き網が主流で、その漁の光景は風物詩でもありました。

海では漁業権を持っていないと網をかけて捕ることは密漁ですが、1本釣りは大丈夫ですのでオホーツク海の網走市の海岸線では一人で何竿も立てている釣り人がいて、お客様がご覧になり驚く方や興味深く写真を撮るなどしていました。

漁業権は、特定の水面で特定の漁業を一定期間排他的に行う権利のことです。日本では、漁業権には主に以下の3種類があります。

定置漁業権:一定の場所に網などの漁具を設置して行う漁業。
区画漁業権:特定の区域で養殖などを行う漁業。
共同漁業権:漁業協同組合などが共同で行う漁業。

漁業権は、漁場計画に基づいて行政行為(免許)により取得されます。また、漁業権を侵害する行為は法律で罰せられることがあります。

鮭に関する北海道内の主な展示施設

●サケのふるさと 千歳水族館 
淡水では国内最大の水槽を持つほか、千歳川の水中を直接観察する施設もあります。

修学旅行生と初めて見学させて頂いた時には施設の方の素晴らしい説明に感動したものです。

2023年8月に道の駅としてリニューアルしました。以前、駐車場のところにあった売店では肉まん、ならぬ鮭まんが珍しく、ご紹介させて頂いたのですが・・・。

●札幌市豊平川サケ科学館
サケの仲間の魚およそ20種を展示しており時期には産卵・人工授精の作業を見学したり、一緒に稚魚を放流する体験もできます。放流先は豊平川と真駒内川です。

札幌市豊平川さけ科学館は、1984年10月6日に開館しました。科学館は、サケの回帰事業と自然知識の普及を目的としており、北海道を代表する建築家、田上義也の設計による建物です。

入館料は無料ですが、駐車場は4月29日から11月3日の土日祝日に限り有料で、乗用車は1回320円、バスは660円、自動二輪は210円です。

●標津サーモン科学館
世界各地のサケの仲間30種以上を展示しており、秋には標津川の魚道をさかのぼるサケをガラス越しに観察出来ます。
標津サーモン科学館は、北海道標津町にあるサケ専門の科学館です。ここでは、世界中のサケの仲間を展示しており、その展示数は国内で最も多いです。

サケの生態や食文化について学ぶことができる施設として、多くの人々に親しまれています。

営業時間:9:30 ~ 17:00(入館は16:30まで)
5月~10月は無休、2月~4月および11月は水曜日が休館日(ただし、水曜日が祝日の場合は翌日休館)
12月~1月は冬期休館となります。
入館料:一般(高校生以上):610円
シルバー(70歳以上):500円
高校生:400円
小中学生:200円
幼児:無料

標津サーモン科学館では、サケの遡上や産卵の様子を観察できるほか、キャビアで有名なチョウザメに指を咬まれる体験イベントなども楽しめます。

人間の角質を食べてくれる魚は、ドクターフィッシュ(ガラ・ルファ)です。ドクターフィッシュは、トルコやシリアなどの温泉地帯に生息するコイ科の淡水魚で、古い角質を食べる習性があります。

標津サーモン科学館には、このドクターフィッシュがおりまして、体験コーナーでは、手を水槽に入れると魚が古い角質を食べてくれる体験ができます。くすぐったい感覚が楽しいです。

初めて手を入れた時は随分と、ちゅうちょしましたが何事も経験と言うことで頑張りました。

新しくなった千歳の道の駅、サーモンパークでも体験が出来るようになっています。

サケとサーモン:日本の食卓に並ぶ魚の違いと選び方

サケとサーモンの違いについて、です。

サケは、一般的に日本で「鮭」と呼ばれる魚で、主に天然のものを指します。サケは川で生まれ、海で成長し、再び川に戻って産卵するという特徴があります。日本では、白鮭(シロザケ)がよく食べられます。

一方、サーモンは、英語で「salmon」と書きますが、日本では主に養殖されたものを指します。

サーモンは寄生虫のリスクが少ないため、生で食べることができるのが特徴です。また、トラウトサーモン(ニジマスを海水で養殖したもの)も含まれます。

簡単にまとめると、サケは天然、主に加熱して食べるもので、サーモンは養殖、生で食べることが多いものを指します。

どちらも美味しいですが、用途や調理法が異なります。

遠音別(おんねべつ)川で見られるサケ・マスの遡上(そじょう)の風景

知床半島で有名な鮭の遡上が見られる川は「遠音別川(おんねべつがわ)」です。

知床連山のひとつ標高1331mの遠音別岳を源してオホーツク海にそそがれている川です。

国道334号線をウトロから斜里に向かって移動すると、オシンコシンの滝から約3kmほど進んだ所に、遠音別橋(おんねべつ橋)が見えてきます。

遠音別橋の手前の駐車場からさらに奥へ進むと、遠音別川が流れており、サケ・マスの遡上風景が見えてきます。

水深が浅いからか、サケ・マスがよく見えます。

昔は駐車場がなく、路肩あたりにバスを停めて下車して見学していましたが、地元の方々が駐車場を作ってくれたのだと思います。

階段もあり長靴であれば川に入ることも出来ます。

打ち上げられたのか、鳥に引っ張り上げられたのか分かりませんが、階段や川岸で口をパクパクさせてまだ生きている鮭や、おなかからイクラがポロポロとこぼれている光景を見た事もあります。

お客様、「もったいない」「このまま持って帰りたい」と仰る方もいるのですが、1度川に入った鮭はオスもメスも精魂尽き果てていますので、北海道では「ホチャッレ鮭」と言い、ほとんど食べません。

子どもの頃は、贅沢は言えませんでしたので、ホッチャレ鮭を塩まみれにして、ご飯と食べていたこともありました。塩まみれでしょっぱい!しょっぱい!

STV(日テレ系)どさんこワイドニュースより

話を本題に戻しまして、鮭の回帰は水温の関係で毎年時期は異なりますが、9月にカラフトマスの遡上、10月中旬~下旬にかけてサケの遡上がピークを迎えます。

ピーク時には、川が真っ黒に見えてしまうほど、すごい数のマス・サケが川を埋め尽くします。

例えるなら、宮崎駿監督の作品『崖の上のポニョ』のワンシーンのようです。

ジャンプ力抜群のカラフトマス:急流河川での放流が期待される理由

知床漁港を過ぎたところにあるサケ・マスふ化場は、岩尾別(いわおべつ)川、アイヌ語のイワウベツ、硫黄の流れる川と言う意味で読みかたは「いわおべつ川」ですが、イワウベツ川と標記されてるのもございます。

その岩尾別川の、ほとりにかまぼこ型で赤い屋根の建物が水産庁のサケ・マスふ化場です。

ウトロ漁港から知床五胡へ向かう、ちょうど上り坂のカーブが始まったあたりから車窓より下を見て頂きます。

大きな建物の中には養魚池もあり、冬の水温低下防止のためにドーム状の屋根を付けております。

ここでふ化放流しているのはカラフトマスです。

他のサケ・マスに比べて特にジャンプ力がありますので、今後の研究によってはこれまで利用できなかった流れの急な川でも放流が可能になるようです。

ジャンプ力では負けていない、サクラマスについては当ブログ【北海道清里町【さくらの滝】で見られるサクラマスの遡上:その驚くべき生態と文化的背景を探る旅】でご紹介しています。

知床半島中央に位置する標高1660mの羅臼岳の西側斜面に源を発し西へ流れ、オホーツク海にそそいでおり全長約10キロの渓流河川です。

岩尾別川のふ化場では、1930(昭和5)年代からサケとマスのふ化放流事業が行われており、知床の漁業を支える重要な役割を果たしています。

定置網漁法とは? 鮭を効率的に捕獲する網の仕組み

STV(日テレ系)どさんこワイドニュースより

定置網漁法は、回遊してくる鮭を効率的に捕獲するための漁法です。具体的には、以下のような仕組みになっています。

垣網(かきあみ):鮭を定置網本体に誘導するための網です。
囲い網(かこいあみ):誘導された鮭を集めるための網で、運動場とも呼ばれます。
登り網(のぼりあみ):鮭がさらに奥に進むための網です。
身網(みあみ):最終的に鮭が入る網で、一度入ると外に出にくい構造になっています。

このように、各網が巧妙に組み合わさって、鮭を効率的に捕獲します。漁期は主に9月から11月までで、北海道の沿岸で広く行われています。

日本の鮭は長年にわたるふ化事業の成果が現れて昭和40年代から増え始め、当時400万匹程度だったのが、今では5~6倍にもなっております。

増えた要因はふ化放流数の増加と回帰率アップで、体重1グラム位でまで育てられたサケは川に放流され、その後、アリューシャン列島・ベーリング海などの北太平洋で大きく育ちます。

定置網は魚を傷めずに生きの良いサケ・マスを水揚げでき、さらに沿岸で捕るために燃料を余り使わなくてすむ漁法です。

母川国主義とは?国連海洋法に基づくサケ・マス漁業の規制の背景

サケマス母船団とは、北洋の公海上でサケやマスを漁獲し、その漁獲物を処理・加工するための大型漁船団のことです。

母船は8000〜9000トンの大きさで、缶詰製造設備や冷凍設備を備えていました。母船を中心に多くの流し網漁船(独航船)とともに漁を行い、漁獲物を母船に積み取って処理していました。

サケマス母船団がなくなった理由は、いくつかの原因が重なっています。まず、1970年代後半から1980年代にかけて、ソビエト連邦が沿岸200海里を漁場専管水域に指定し、日本の漁業活動に対する規制が強化されました。

さらに、1992(平成4)年には北太平洋公海でのサケ・マス漁業が全面的に停止されることに合意し、これによりサケマス母船団の操業が終了しました。

このような規制の背景には、サケやマスが母川に戻る魚であるため、国連海洋法で「母川国主義」が採用され、母川国が漁業資源の管理権を持つことが定められたことがあります。

排他的経済水域(EEZ)とは?200海里(カイリ)問題の基本概念を解説

200海里問題は、主に「排他的経済水域(EEZ)」に関するものです。排他的経済水域とは、沿岸国が自国の基線から200海里(約370キロメートル)以内の水域に対して、天然資源の開発・管理などの主権的権利を持つ区域のことです。

この水域内では、沿岸国は以下のような権利を持ちます。

天然資源の開発と管理:魚や鉱物資源の採取
環境保護:海洋汚染の防止や環境保護のための規制
科学調査:海洋科学調査の実施に関する許認可権

一方で、他国の船舶はこの水域を自由に航行できますが、資源の採取には沿岸国の許可が必要です。

この問題は、特に資源の豊富な海域での権利争いが原因で、国際的な摩擦を引き起こすことがあります。

例えば、日本周辺では中国や韓国との間でEEZに関する紛争が発生しています。

北洋サケマス漁業の歴史:函館港から出発する船団の過去と現在

【朝日新聞×HTB(テレ朝系) 北海道150年 あなたと選ぶ重大ニュース】より

サケマス母船団は「遠洋漁業」の一種です。遠洋漁業とは、遠洋で行われる漁業のことで、通常は母船と複数の漁船が協力して行います。サケやマスを対象とした漁業もこれに含まれます。

母船式サケマス漁業の漁期は通常、5月15日から8月10日までです。船団は5月初旬に函館港に集結し、出発します。

漁期中、船団はカムチャッカ半島やアリューシャン列島付近を移動しながら、紅鮭や銀鮭などを漁獲します。

この期間中、母船は独航船と連携しながら、広範囲の海域で漁を行います。独航船は母船から50~80海里以内の水域でサケマスを捕獲し、夕方から日没までに投網し、翌朝早くから網を揚げて漁獲物を母船に持ち帰ります。

かつて北海道全道から漁船が函館に集まり、サケマス母船団として遠洋漁業を行っていました。

特に昭和27年から昭和63年まで、函館は北洋サケマス漁業の重要な拠点でした。

母船式漁業は、母船(漁獲物の処理や冷凍設備を備えた大型船)と、それに付随する多数の独航船(漁を行う小型船)で構成されていました。

最盛期には16船団、500隻以上の独航船が函館から出漁していました。

この漁業形態は、北太平洋の公海上で行われ、特にカムチャッカ半島やアリューシャン列島周辺が主な漁場でした。

【朝日新聞×HTB(テレ朝系) 北海道150年 あなたと選ぶ重大ニュース】より

しかし、昭和63年に米国の200海里水域内での操業が困難になり、母船式漁業は終了しました。

「イクラ」と「すじこ」の違いとは?

イクラ
形状: 卵巣膜から取り出され、ひと粒ずつバラバラにしたものです。
味: 一般的にはしょうゆ漬けや塩漬けにされ、濃厚な甘さや旨みがあります。
食感: プチプチとした食感が特徴です。
旬: 9月から12月頃が旬です。

すじこ(筋子)
形状: 卵巣膜に包まれたままの状態で、卵が筋状につながっています。
味: 塩漬けにされることが多く、強い塩味と熟成されたコクがあります。
食感: 柔らかく、しっとりとした食感が特徴です。
旬: 北海道では9月中旬から。

どちらも美味しいですが、食感や味の違いを楽しんでみてくださいね。どちらが好きですか?

自家製の美味しいイクラの醤油漬け

HTB(テレ朝列)北海道ニュースより

自分で生筋子からイクラを作る道民も多いです。だいたいの目安ですが以下の手順で作ります。

HTB(TBS系列)北海道ニュースより

材料
生筋子(サケの卵)

醤油

みりん

道具はイクラがすり抜けない大きさのザルとボウルです。

手順
筋子をほぐす:
筋子を40℃くらいのぬるま湯に浸けます。塩を少し加えるとほぐしやすくなります。
親指の腹を使って、膜から卵を優しく押し出します。膜が縮んで卵がほぐれやすくなります。

洗浄:
ほぐした卵を数回水で洗い、血合いや薄皮を取り除きます。卵が白っぽくなっても、後で調味料に漬けると透明に戻ります。

調味液の準備:
鍋に醤油50ml、酒20ml、みりん10ml、水20mlを入れて一度沸かし、冷ましておきます。

漬け込み:
洗浄した卵を保存容器に入れ、冷ました調味液を注ぎます。
冷蔵庫で2〜3時間以上漬け込んで味を染み込ませます。

保存:
イクラの醤油漬けは冷蔵で1週間ほど保存可能です。冷凍する場合は小分けにして保存すると便利です。
これで、自家製の美味しいイクラの醤油漬けが完成です!ぜひ試してみてください。

わたくしは1度作ってみましたが余り上手に出来ず、ずっと購入派です・・・・。

トキシラズと紅鮭と銀鮭の特徴と味の違い

トキシラズ(時鮭)
特徴: トキシラズは「時知らず」とも呼ばれ、通常の秋鮭(白鮭)が秋に川に戻るのに対し、春から夏にかけて戻ってくる鮭です。
味: 脂がのっていて、秋鮭よりも美味しいとされています。


銀鮭(ギンザケ)
特徴: 銀鮭は主に養殖されており、日本ではチリ産のものが多く流通しています。背中に黒い斑点があるのが特徴です。
味: 脂が多く、身が柔らかいです。塩焼きやムニエルに向いています。


紅鮭(ベニザケ)
特徴: 紅鮭は天然ものが多く、主に北太平洋やオホーツク海で漁獲されます。身が赤く、見た目が華やかです。
味: 味が濃く、脂は控えめですが、しっかりとした食感があります。焼き魚やスモークサーモンに適しています。


それぞれの鮭には独自の魅力があり、料理の用途や好みによって使い分けると良いですね。どの鮭が一番好きですか?

『鮭とば』の歴史と由来:アイヌ民族の保存食から生まれた伝統の味

鮭とばは、北海道で古くから親しまれている珍味です。作り方は比較的シンプルですが、時間と手間がかかります。以下に基本的な手順を説明します。

鮭とばの作り方
鮭の準備: 秋鮭を半身におろし、縦に細長く切ります。
塩漬け: 切った鮭を塩水に漬け込みます。これにより、鮭の水分が抜け、保存性が高まります。
乾燥: 塩漬けした鮭を冷たい風で干して乾燥させます。これには数日から数週間かかることがあります。

鮭とばの歴史は非常に古く、アイヌ民族が冬の保存食として作り始めたとされています。アイヌ語で「トゥパ」という言葉が由来で、「鮭を縦に細く切って乾燥させたもの」という意味です。

鮭とばは、噛むほどに鮭の旨味が広がる硬い食感が特徴で、お酒のお供にぴったりです。最近では、ソフトタイプや調味料を加えたバリエーションも増えてきています。

ルイベとは?アイヌ文化に由来する北海道の伝統料理

ルイベは北海道の伝統的な郷土料理で、主に鮭や鱒のフィレを冷凍し、凍ったまま薄く切って刺身として食べるものです。

ルイベの名前はアイヌ語で「ル」が溶ける、「イペ」が食べ物を意味し、そこから来ています。

ルイベの特徴は、凍った状態で食べることで独特のシャリシャリとした食感が楽しめることです。

また、冷凍することで鮭の脂が適度に抜け、鮭本来の風味が強調されます。

わさび醤油やレモン、大根おろしなどを添えて食べるのが一般的ですが、地域や家庭によっては塩をふったり、軽く炙ったりすることもあります。

北海道を訪れた際には、ぜひ試してみてくださいね。言いたいところですが、申し訳ございません。これが中々少なくて、ビッフェやバイキング形式では聞いたことはありません。

お客様の宿泊施設の夕食や朝食にあるかどうか楽しみですね。

お客様のお土産として色々見ましたが、目利きじゃないわたくしは食べたことはありますが、どこだったの?忘れてしまいまして、色々調べたのですが「ルイベ漬け」としてはあります。

サーモンのお刺身と全然別物です。焼いていない鮭を凍らせてスライスした身を食べるのです。

ですので、ここまで読み進めて下さっている方に、全く別物ですが「鮭のルイベ漬け」を見て頂ければと思います。

2024年の鮭の回帰率が下がり値上げの残念なお知らせ

HTB(TBS系列)北海道ニュースより

更に、ここまで読み進めて下さった方は、もう写真で察したか、ニュースなどでご存じの方もいらっしゃると思いますが、今年の鮭の回遊率の出だしが不漁、と言うことでせっかくの鮭の収穫祭などのイベントが中止せざるを得ない地域もございました。

HTB(TBS系列)北海道ニュースより

写真左上の第39回:浜益(はまます)ふるさと祭りと、右の第49回:厚田(あつた)ふるさとあきあじ祭りは無事に開催されたことは確認出来ました。

写真中央の第59回:石狩さけまつりは開催予定との事。週間天気予報では晴れ最低気温が10度前後で日中の最高気温は22度です。

開催されることを願っています。

HTB(TBS系列)北海道ニュースより

【別海(べっかい)町の西別川河口では江戸時代後期1786年、幕府が蝦夷地の調査を行い、江戸にまで知られるようになり、1800年から将軍への「献上鮭」を作っていたことが記録とされております。】と最初の方でご案内させて頂きましたのに残念です。

まとめ

北海道で親しまれている鮭には、食卓に欠かせないさまざまな魅力があります。

サケマス漁業の歴史や、サケのふ化場での取り組みから、鮭の種類ごとの特徴、そして伝統的な保存食「鮭とば」に至るまで、鮭は日本の食文化に深く根付いています。

「トキシラズ」「紅鮭」「銀鮭」など、それぞれの鮭には独自の特徴があり、料理法によって美味しさも異なります。

また、漁法においても定置網漁や母船式漁業が長年にわたって日本の漁業を支え、漁獲技術の進化に伴って鮭の安定供給が可能となっています。

さらに、鮭とばはアイヌ民族から受け継がれた伝統的な保存食であり、噛むほどに旨味が広がるその硬い食感は、お酒の肴としても人気です。バリエーションもあり、進化を続けています

鮭はただの魚以上に、道民の生活に密接に根づいている大切​​な食材です。

伝統と現代の技術が融合した鮭の世界は素晴らしいです。

皆様も機会がございましたら是非、鮭の遡上を見に北海道にお越しください。

おまけ

鮭の不漁は心配ですが、なんと!根室市にあります花咲港では「サンマ」例年にない大豊漁とニュースがありました。

サンマを運ぶトラックがひっきりなしに通るので「サンマロード」と名付けられた道ができたとか。

鮭も10月には例年通りになるのかな、とテレビのインタビューの方々が仰っていましので是非、鮭たち群となって北海道に帰ってきてね。

カムバック・サーモン。

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