津軽海峡の地理的特徴と歴史的背景
皆様、こんにちは。今日は北海道と本州を分ける津軽海峡と、その歴史的な発見についてお話しさせていただきます。バスの車窓から眺める渡島半島、下北半島、津軽海峡の美しい風景には、非常に興味深い物語が隠されています。
1861年(文久元年)、イギリス人のトーマス・ライト・ブラキストンが箱館(現在の函館)に到着しました。彼は元々実業家として活動していましたが、鳥類や動物にも深い興味を持っていました。箱館開港後すぐに、彼は23年間にわたってこの地域で生活しながら動物の調査を行い、北海道と本州の動物の違いを発見し、津軽海峡がその境界線であることを明らかにしました。
津軽海峡を越えて:ブラキストンラインと変わる景観
津軽海峡を越えると、景観が一変するのを感じることができるでしょう。これは、植物の種類が本州と北海道で大きく異なるためです。
北海道の豊かな森林
北海道の面積の約70%が森林であり、これは全国の森林面積の22%を占めています。さらに、天然林が約7割を占めており、針葉樹と広葉樹が入り混じった混合林が大きな特徴です。これにより、北海道の森林は他の地域とは一線を画しています。
函館や渡島半島は本州に似た景色が広がっているため、初めて訪れる方にはその違いが分かりにくいかもしれません。しかし、わたくしから見ますと、その違いは札幌より北や東に進むほど顕著に現れます。
札幌以北の自然の変化
札幌より北や東に進むと、森林の様相がさらに変わり、本州とは異なる北海道の自然の美しさが際立ちます。この地域では、特にブラキストンラインによる動植物の違いが鮮明に感じられるでしょう。
津軽海峡を越えた先の北海道は、本州とは異なる魅力に満ちています。森林の広がりや動植物の違いを感じながら、北海道の自然を存分にお楽しみ下さいませ。
津軽海峡の歴史: 渡航の歴史と困難
津軽海峡は、日本海を国情する対馬海流と太平洋側を南下する千島海流が交錯する地点であり、強い潮流が特徴です。このため、昔は本州から北海道を行き来するのが非常に困難でした。
松前のお殿様が江戸へ参勤する時は松前から青森の三厩(みんまや)へとこの海峡を渡るのですが、命がけでした。船が無事に三厩に着くと合図のノロシをあげ、北海道の白神岬でこれを受け、またノロシで城中に知らせる。知らせを受けた藩士は登城して殿様の無事を祈ったということです。
昔は津軽海峡の事を、しょっぱい川と呼んでいました。塩辛い川の意味で本州から移住してきた私たちの祖先が、望郷の念を込めてこう言ったのです。日本海を国情する対馬海流と、太平洋側を南下する千島海流が1時間11kを超える潮流が走り交錯する、この海峡は、本州と北海道を引き裂いている張本人で、昔は渡るのになかなか難儀したそうです。
その津軽海峡も明治41年から連絡船が航行するようになり、青森、函館間113キロを3時間50分で結んでおりました。しかし青函連絡船80年のキャリアも時代の流れと科学にには勝てず、昭和63年をもって、その座を改定トンネルに譲り渡したのでございます。
そして、新幹線が通るようになりました。【木古内町】のこちら
津軽海峡の地理
さらに研究が進められ分かったことがあります。世界地図で日本列島を見ますと、大陸の一部のようにも見えます。また、北海道は宗谷でサハリンとつながっていたようにも見えます。
地理的には昔の氷期や間氷期には陸地化や水没つを局所的に繰り返しながら現在の地形になったと言われている。本州が朝鮮半島とつながっていた時に、現在、本道にはいないモグラ、イノシシ、ツキノワグマなどがやってきたが、津軽海峡を越えられず分布の北限となり、また、シベリアと陸続きの時、サハリンを介してヒグマ、シマリスなどもやって来たが、この津軽海峡を越えられず南限となったようです。
「ゴキブリも北海道にはいないんですよ。」と申し上げますと羨ましいと言われますが、本州から運ばれてくる物資に紛れてくることもあり、わたくしは見たことはございませんが、見た見たと言う話を近年聞くことがあります。
ブラキストンラインの発見
ブラキストンですが、津軽海峡が北海道と本州の動物相を分ける重要な境界線であることを突き止めました。彼の調査によれば、北海道の動物ヒグマ、オオカミ(絶滅)、シマリス、キタキツネ、エゾシカなどはシベリア系であり、本州の動物、猿、イノシシ、キジ、カモシカ、モグラなどは満州や中央アジア系に分類されるということです。この境界線は後に「ブラキストンライン」と名付けられました。
完全に北海道にいないのは、猿、イノシシ、キジ、カモシカ、モグラ、ゴキブリです。
似た名前ではありますが、違うのが熊、本州はツキノワグマ、北海道はヒグマ、リス、北海道ではエゾリス、シマリスです。キツネも本州ではアカギツネと呼ばれる種類で ユーラシア大陸や北アメリカ大陸など北半球に広く生息しているそうで、 ホンドギツネとも呼ぶそうですが北海道ではキタキツネと呼び種類が違います。
写真提供:MASANORIくん 場所:小学校の通学路の上 2024/6/1 運動会を観戦していた時
鹿も本州では国の天然記念物「奈良のシカ」やニホンカモシカがいるとのことですが、北海道はエゾシカです。
本州と北海道の動物の違いはブラキストンが発見し明治16年に論文で発表した事で友人の地震学者ジョン・ミルンが提案し、以後ブラキストン線、またはブラキストンラインと呼ばれるようになりました。動物学に計り知れない貢献を残したブラキストンの偉業を讃え昭和35年、函館山頂に記念碑が建てられました。
北海道だけに生息する動物
アザラシ、タンチョウ、オオワシ、オジロワシ、オオハクチョウ(冬になると飛来してくる)エゾナキウサギ、エゾリス、エゾフクロウ、シマフクロウ、シマエナガ、エゾモモンガ、エゾリス、エゾナキウサギ等々でございます。
写真提供:中添雅仁さん【カメラ Canon EOS Kiss X4】 【レンズ:TAMRON400㎜望遠レンズ】シマエナガ